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将来の大きなビジネスチャンスを探すための視点

新規事業を生み出す方法2020.01.26

 「事業とは『不』の解消」という考え方をベースにしていますので、新規事業のテーマの探索に当たっては、『不』=ビジネスチャンスと考えて、クライアント企業で社内起業を目指す皆さんと共に、世の中の『不』の探索をお手伝いしております。

 なかなか思いつかないということになると、まずは自分の身の回りや既存事業の周辺の『不』を探すところから始めることもありますが、将来の自社事業の軸となるような事業を生み出すことを目的にテーマ探索をする場合には、「今」ではなく「将来」の「不」を予想するというアプローチをします。

 ただでさえ未来がどのような世の中になるのかが分からないところに、その時にどんな「不」(=ビジネスチャンス)があるかを考えるのはなかなか難しいです。
 人口動態はほぼ予測がつきますし、技術の発展も仮説として置くことができますが、その時の人々の生活や産業構造を見通すことは簡単ではありません。更には、その時の人の気持ち(不)を想像することはとても難しいです。

 もしかしたら、今の時代にも潜在的に存在する「不」が、将来顕在化してくるというものもあるでしょう。
 そういった「不」を早くから見つけ準備をしておけば、「不」が顕在化したときに大きな事業にすることができます。
 ですので、今ある小さな兆しの中から、将来に大きくなりそうなものを見極められれば良いのですが、言うは易し行うは難しです。

 そんな時、将来を見通すというアプローチだけでなく、「人間というものはそもそも・・・」と根源に立ち戻るようなアプローチをすることがあります。

 こちら、京都大学の総長を務められているゴリラ学で著名な山極先生のお話には、いろんな示唆がありました。
https://00m.in/4VT9M

 曰く、「ゴリラの生態から得られた知見から考察するに、人間とはそもそも『定住』は縛られることと考え好まないもの。『所有』も面倒が増えると捉えて望まないのだ。」と。

 少なくとも日本では ながらく「いつかは持ち家」と言って、高い住宅を長期ローンを組んでまで購入できるようになることをもって「幸福」としてきました。
住宅に限らず、資本主義経済においては「より良いものを所有する」ことを是として、社会全体の経済を大きくしてきました。
この2つが もし人間の根源的な欲求と合致していないとしたら、なんと皮肉なことでしょう。

ですが、近年盛んになってきているシェアリングエコノミーや、若者を中心とした「持たずに借りる」という生活スタイルは、こう考えるととても理に適ったものです。
また最近は、2拠点生活をする人や、簡易に引っ越しができるサービスを利用する人が増えていますが、これも人間の根源的な欲求に沿ったものなのかもしれません。
このように考えていくと、これらは一時的なブームではなく、遠い将来に向けたパラダイムシフトを示しているのかもしれません。

 山極先生は、「従来は、より良いものを所有すること自体がヒエラルキーの基準であったが、これからは他者への貢献度がその基準になってくるのでは」ともおっしゃっています。
 我田引水かもしれませんが、人がそれぞれ「他社の抱える不」を解消することを、自分が得をして「所有」を増やすことに増して優先して取り組むようになれば、今より良い世の中になっていくのでは、と期待が持てます。
こういった傾向も、近年増えている「ボランティア」や「寄付」をしたいと考える人が増えていることからも読み取れます。

 未来の「不」を探しビジネスチャンスの探索をされるときには、一度根源に立ち戻ってみるというのも有効そうです。